事務職から年収を上げるには?公的統計でみる職種別の差とAIの使いどころ
同じ事務職でも、総合事務員は約541万円、企画事務員は約737万円。厚生労働省の賃金統計をもとに事務系職種の年収を比べ、AIをどの仕事に使えば年収アップにつながりやすいかを整理します。
「事務職のままでは年収が上がらない」とよく言われます。ただ、公的統計で事務系の職種を細かく見ると、同じ事務職のなかでも年収には200万円近い差があります。
この記事では、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(2025年調査)をもとに、事務系職種の年収を比べます。そのうえで、AIをどの仕事に使えば年収アップにつながりやすいかを考えます。
掲載している年収は統計上の平均にもとづく目安です。個人の経験・地域・企業規模・雇用形態によって大きく変わり、特定の収入を保証するものではありません。
事務系職種の年収を比べる
年収は「毎月の給与×12+年間賞与」で当サイトが算出した値です(2025年調査・男女計・企業規模10人以上)。
| 職種(統計上の分類) | 年収の目安 | 平均年齢 |
|---|---|---|
| 企画事務員 | 約737万円 | 43.0歳 |
| 秘書 ※ | 約592万円 | 45.7歳 |
| 総合事務員 | 約541万円 | 44.6歳 |
| その他の一般事務従事者 | 約529万円 | 44.0歳 |
| 庶務・人事事務員 | 約525万円 | 44.9歳 |
| 営業・販売事務従事者 | 約525万円 | 43.3歳 |
| 会計事務従事者 | 約512万円 | 44.0歳 |
| 事務用機器操作員 ※ | 約429万円 | 43.4歳 |
| 電話応接事務員 | 約407万円 | 43.6歳 |
| 受付・案内事務員 | 約353万円 | 42.8歳 |
※ 秘書と事務用機器操作員は集計対象の人数が少なく、年によって値が大きく振れます。順位は参考程度に見てください。
事務職の大半を占める総合事務員・一般事務・庶務・営業事務・会計事務は、510万〜540万円台にほぼ横並びです。そのなかで企画事務員だけが約737万円と、はっきり抜けています。
総合事務員と企画事務員の差を分解する
いちばん人数の多い総合事務員(約128万人)と、企画事務員(約49万人)を比べます。
| 総合事務員 | 企画事務員 | 差 | |
|---|---|---|---|
| 毎月の給与 | 約35.7万円 | 約46.5万円 | 月 約10.8万円 |
| 年間賞与 | 約113.6万円 | 約179.4万円 | 約65.8万円 |
| 年収の目安 | 約541万円 | 約737万円 | 約195万円 |
差の約3分の2は毎月の給与、残りの約3分の1は賞与から来ています。平均年齢は企画事務員のほうが若い(43.0歳と44.6歳)ので、年齢の差では説明できません。
時系列で見ると、差は広がっています。
| 調査年 | 総合事務員 | 企画事務員 | 差 |
|---|---|---|---|
| 2021年 | 約494万円 | 約621万円 | 約127万円 |
| 2025年 | 約541万円 | 約737万円 | 約195万円 |
この4年で総合事務員は約9.5%、企画事務員は約18.7%上がっています。
この差をどう読むか
ここで注意したいのは、「企画事務員に移れば年収が195万円上がる」という意味ではないことです。平均の差には、勤めている企業の規模、男女の構成、勤続年数などの違いも含まれます。この統計(男女計・産業計)からは、それぞれの影響を切り分けられません。
それでも、次の2点は言えます。
- 事務系のなかで、年収水準が明確に高い区分が企画の仕事であること
- その差は一時的なものではなく、ここ数年で広がっていること
AIは「どの仕事に」使うと年収につながりやすいか
総合事務員の仕事は、資料作成・データ入力・日程調整など幅広い定型業務です。AIで短縮しやすい反面、短縮した時間そのものは待遇に反映されにくいのが実情です。評価されるのは、空いた時間で何をしたかです。
一方、企画事務員の中心にあるのは次のような仕事です。
- 市場や競合の調査(何が起きているかを集めて整理する)
- 数値の分析(売上や利用状況から仮説を立てる)
- 提案資料の作成(判断材料としてまとめ、通す)
これらは、いまのAIツールが特に効きやすい作業でもあります。
| 作業 | AIの使いどころ | 関連ツール |
|---|---|---|
| 調査 | 出典つきで情報を集め、要点を比べる | Perplexity |
| 数値分析 | 表計算の集計・グラフ化・傾向の言語化 | Microsoft Copilot |
| 資料作成 | 構成案づくり、たたき台の作成 | ChatGPT・Gemini |
AIの出力はそのまま使えるとは限りません。特に数値と出典は、必ず自分で確認してください。
事務職から企画の仕事へ近づく3ステップ
いきなり転職を目指すより、今の職場で企画寄りの実績をつくるほうが現実的です。企画事務員は同じ事務系の区分なので、社内異動の選択肢になりやすいからです。
- 定型業務をAIで短縮し、削減した時間を記録する 議事録や定型資料など、毎週くり返す作業から始めます。何時間減ったかを数字で残しておくと、次のステップの説明材料になります。
- 空いた時間で、調査や分析を引き受ける 「競合の動きをまとめておきます」「この数字の推移を見ておきます」と、企画部門に近い仕事を自分から取りにいきます。AIを使えば、調査や集計の負担はかなり下げられます。
- 数字で語れる成果を1つつくり、社内公募や異動を狙う 「この分析をもとにこう提案し、こうなった」と説明できる実績が1つあると、企画部門への異動や、企画職への転職で話がしやすくなります。
まとめ
- 事務系の主な職種は年収510万〜540万円台に横並びで、企画事務員だけが約737万円と高い(2025年調査)
- 総合事務員との差は約195万円で、2021年の約127万円から広がっている
- ただし平均の差であり、移れば同じだけ上がるという意味ではない
- AIは定型業務の短縮だけでなく、調査・分析・資料化という「企画の仕事」に使うと、年収につながる方向に近づきやすい
職種ごとの年収や推移は、AI職種別の年収データで確認できます。